WHITEHOUSE

WH-023

やんツー個展
「TEFCO vol.1 〜重力発電の夜明け〜」

・ARTIST

やんツー


・AVENUE

WHITEHOUSE


・DATE

7/4 TUE – 7/30 SUN

 

・OPEN

16:00 – 21:00

 

・CLOSE

MON,TUE


・CURATOR

涌井智仁


・Production Cooperation

石毛健太、稲永英俊、西村健太、西村颯貴、本間恒瑛、山本葵


・Mascot Character Design

石毛健太

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 この度WHITEHOUSEではやんツーによる個展「TEFCO vol.1 〜重力発電の夜明け〜」を開催いたします。

 やんツーはこれまで様々な同時代的テクノロジーと併走し、時にそれらを誤使用しながら、人間とテクノロジーの関係に存在論的な問いを投げかけてきたアーティストです。GPS、ドローイングマシン、SNS、仮想通貨、AI、自走マシン等々、多岐にわたるテクノロジーを駆使してきたやんツーですが、近作「脱成長のためのイメージ」(2021)では人間によって使い捨てるように消費されてきた同時代のテクノロジーとの和解を試み、それまでの自作への自己批判として作品を作り上げました。また、森美術館で開催された「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」(2022)では、物流や運搬といった社会で看過されがちな見えづらい領域にメスを入れ、運搬ロボットが黙々と物や美術品を移動させ展示する様子を演劇的に展開させています。

 常にテクノロジーと寄り添いながらも、それらを自明視せず揺さぶり続けてきたやんツーが今回注目したのが「発電」です。近代以降の人間の生活にとって生命線とも言える電気は、静電気の発見から始まり、現在の火力発電、原子力発電等々の大容量発電まで、様々な方法で製造され続けてきました。我々はあたかもそれが組み尽くせぬ無限のエネルギーのように勘違いしながら、徐々に電気を匿名化し、感覚を麻痺させてきました。
 我々の生活を強く条件づけているはずの電気や発電への失われた想像力を取り戻すために、やんツーはWHITEHOUSEの会場内に巨大な重力発電装置を作り上げました。重力発電とは位置エネルギーを活用した発電方法で、大きな質量を持った物体を高所から落下し、それによってタービンを回転させる発電方式です。揚水発電でも使われている極めて古典的な発電方法である重力発電は、近年、再生可能エネルギーの分野で注目されつつありますが、やんツーはエコロジー的な解答や資本主義合理性における新しい発電方式としての重力発電ではなく、あくまで電気の手触りを人間に取り戻すことを主眼としてこの発電装置を作り上げます。それは今回の展覧会のタイトルであるTEFCO(Tokyo Electricity Farming COmmunity)という造語にも現れています。電気をどこか遠くの生産地からサブスクリプションされるものとして認識することから、自らの手で「耕す」ことを通じて、別の認識の経路へと開くこと。そのための思考装置として重力発電があります。
 展覧会会期中はこの重力発電装置を使って毎日電気が耕され、リチウム電池や鉛蓄電池に電気が収穫されていきます。ご来場の皆様にも、この発電装置を動かしながら電気の手触りを実感していただきたいと思います。

 今日、発電をこの社会に基礎付けるためのあらゆるコト、言葉が問いに付されています。この展覧会を契機に電気と人間の間に新しいリアリズムが立ち上がることを期待しながら、展覧会をスタートしたいと思います。

涌井智仁

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以前から、電気を使わないと作品がつくれない作家としての自分自身に、貧しさを感じていた。そこから、普段なんとなく壁のコンセントから電気を得ていることに、違和感や疑問を感じるようにもなった。どこでつくられて、どう運ばれてくるのか、ごくぼんやりとしか想像ができない。自分だけではなく、現代人にとっては衣食住と並んで必要不可欠なものなはずなのに、毎日使う身近なものなのに、実はその実態をよく分かってない。それは通常、物理的レベルで目に見えないし、インフラとして生活の中に巧妙に組み込まれていて、意識が及ばないように設計されている。そんな状況が実に気持ち悪く、電気というものに対して、確かな理解と、何か手触りのあるリアリティが欲しく、電気をつくること自体を作品化するに至った。電気をつくって、使ったり、貯めたり、配ったり、売ったりする。その電気を自給自足で耕していく営みを、芸術として提示していく活動「Tokyo Electricity Farming Community [TEFCO] 」を、ここWHITEHOUSEでスタートさせます。

やんツー

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やんツー

1984年、神奈川県生まれ。美術家。セグウェイが作品鑑賞する空間や、機械学習システムを用いたドローイングマシンなど、今日的なテクノロジーを導入した既成の動的製品、あるいは既存の情報システムに介入し、それらを転用/誤用する形で組み合わせ作品を構築する。菅野創との共同作品が文化庁メディア芸術祭アート部門にて第15回で新人賞(2012)、同じく第21回で優秀賞(2018)を受賞。2013年、新進芸術家海外研修制度でバルセロナとベルリンに滞在。近年の主な展覧会に、「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」(森美術館、東京)、「遠い誰か、ことのありか」(SCARTS、札幌)、「DOMANI・明日展」(国立新美術館、東京、2018)、あいちトリエンナーレ2016(愛知県美術館)など。和田ながら演出による演劇作品の舞台美術や、contact Gonzoとのパフォーマンス作品など、コラボレーションも多く手掛けている。

http://yang02.com