この度WHITEHOUSEでは建築家コレクティブ「GROUP」による展覧会「手入れ/Repair」展を開催いたします。
“手入れ”とはすなわちそれまでを切断する介入のことです。不具合を起こした物、それを支える地面、そこに流れる時間、それらを一度棚上げし、文脈から引き剥がす行為として”手入れ”は存在しています。不具合や不良、事故はそのように強引な介入を通して、別の新しい身体を獲得していきます。
GROUPは、その特殊なコミュニケーションの形態でもある”手入れ”を、アートの新しいフォームとして提案します。新宿という場所で起きた数々の私/公の闘争の歴史を、建築と地面や、身体と記憶の関係として読み解き、そこに”手入れ“を行使していきます。そこでは過去の不具合は文字通り現在のものとして登場し、”手入れ”を通して新しいものとして甦ります。当然ながら、新宿ホワイトハウスもその対象となりますので、この数週間を通して一時的に解体される事となります。そして、多分新しく生まれ直すはずです。GROUPによる工程表がありますので、是非それを見ながら彼らの”手入れ”を追いかけていただきたいです。そして、”手入れ”というフォームの物理的な危険さと共に、建築家がアートギャラリーで展覧会をする事の意味や、建築と身体の本質的な折り合いの悪さも併せて体験していただけたらと思います。
GROUPはこれまで『海老名のスタジオハウス』、『浜町のはなれ』など、通常の建築の枠に留まらない多義的な建築アクションを試みてきたコレクティブです。
GROUPには我々がこのアートギャラリーを始める随分前から、WHITEHOUSEのプロジェクトに関わっていただいています。磯崎新の処女作である「新宿ホワイトハウス」を元の状態のままキープしながら、ある種「新宿ホワイトハウス」を読み替える行為として外構と庭の施工を行い、新しいアートギャラリースペースとしてWHITEHOUSEを立ち上げました。その方法論は彼らの言う”手入れ”を予言するようなものだったと今この文章を書きながら思い返しています。
この展覧会には通常の意味での搬入、施工、展示、解体、搬出はありません。この文章が書かれている今も展示は行われているし、施工も行われています。それらは常に進行しているのです。
床は開いています。地面に気をつけてご参加ください。
涌井智仁